毎週月曜日の朝日新聞に掲載される読者投稿の短歌欄、「朝日歌壇」を見るのが楽しみです。最近、1人の投稿者が大きな話題になっているからです。
その名は公田耕一。本名かペンネームかはわからないようです。住所欄に地名ではなく、「ホームレス」と記されているのが印象的です。郵便物の消印などから横浜周辺でホームレスをしているようで、「公田さん。名乗り出て下さい」と、朝日新聞が記事で呼びかけていましたが、これまでに反応はないそうです。
短歌の素養がある相当の知識人で、何かのきっかけでホームレスになったのではと言われています。佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏の3人の撰者による厳しい選考を突破して、ほぼ毎週のように掲載されているから驚きます。以下、公田さんの作品の一例です。
・親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす
・鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか
・水葬に物語などあるならばわれの最期は水葬で良し
・パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる
・日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る
・百均の「赤いきつね」と迷いつつ月曜だけ買う朝日新聞
今朝もドキドキしながら新聞を開きましたが、残念ながら今日の「朝日歌壇」には載っていませんでした。公田さんは毎日どのような想いで短歌を詠んでいるのでしょうか?
公田さんが毎日食うや食わずの生活をしていると思うと胸が詰まります。
※写真は市内「岩川池」で今日撮影